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なぜチェスのトッププレーヤーは男性が占めるのか?

米国の時事問題、政治、文化を取り上げたオンラインマガジン「Slate」の記事の中で「なぜチェスのトッププレイヤーは男性が占めるのか」という記事をご紹介します。



COURTESY OF NETFLIX

昨年の2019年にFIDE(国際チェス連盟)に属している選手の中で公式戦に出た女性選手は全体の10パーセント(米国では8.2%)でした。 外観は、女性のトップレベル<男性のトップレベル の差は大きいものの、コンピューター科学者の統計によりチェスの盛んなインドでは参加している女性プレイヤーのレーティング(強さ)の平均値と男性プレイヤー平均値とのギャップは、男女比の競技人口のギャップに起因することがわかりました。 即ち、女性100人・男性100人の同数で開催する大会では、強い選手が輩出される確率に男女間で決定的な違いがなかったということです。 インドとは異なり男女の強さの差が大きい国の方が遙かに多いのが現実ですが、それらは生物学的な男女格差ではなく社会的、経済的、文化的などの外部要因に因ると思われます。 例えば将来が有望な男性チェスプレイヤーは同じ才能を持つ女性と比較して、生計を立てるためにトレーニングやスポンサー探しに苦労しません。また家庭を持っているチェスプレイヤーの場合、女性は男性よりも育児負担などのハンディを負っている可能性があり、大会への出場機会や準備をする時間が少なくなって、競技から離れる選手も数多くいます。 また女性限定のトーナメントに振り分けられることも多く、高いレーティングの男性選手と挑戦する機会も限られるため、女性プレイヤー全体のレーティング自体が上がりにくくなっています。世界のトップ100のプレイヤーのうち、女性はひとりだけです。 チェスにおける性別による生物学的差異のはっきりとした根拠はゼロにも関わらず、女性(および女の子)は本質的に才能がなくチェスが苦手との固定観念が先行して、女性への機会共有のギャップが拡大し、トップレベル格差が拡大する悪循環に陥っています。 物理学、数学などの男女ギャップが大きい分野と同様に、この負のサイクルを断ち切ることは困難です。 しかしながら、コロナ禍の中でNetflixの「クイーンズギャンビット」のヒットは、チェスのネットストリーム(ゲーム配信)への女性の参加およびストリーマー(配信者)の発信力に大きな後押しとなっています。 一部ではオンラインで生計を立てられるほどに急成長しているインターネットのチェス市場では、対戦する相手の性別に関係なく世界中のプレイヤーと自由に対戦でき、古くから有った男女間の障壁そのものが取り除かるといった変化が加速しています。COVID-19が去った後のチェス界を占うに当たって、女性の活動がもっと活発化するような、今風でいう「ニューノーマル」な変革が起きています。

KEI



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