“THE TURK” の謎

チェスの歴史は実に古く、1500年前に中期ペルシア語で書かれた文献が発見されていますが正確な始まりはわかっていません。

長い歴史の中で最大の謎とされているのが、ハンガリー人の発明家フォンケンプレンが1770年発表した“ The Turk(トルコ人)”と言われています。



19世紀まで西洋で盛んに作られていたオートマタ(からくり人形)の中でも最も著名な作品の一つで、チェスエンジンの始祖と呼ぶ人も沢山います。

このチェスを指す人形はヨーロッパ中の著名人の関心を集めることとなり、ウィーン興行では当時のフランス皇帝のナポレオンを打ち負かしました。

アメリカに渡った際にはベンジャミン・フランクリンにも勝つなど、火事により焼失するまでの84年間に渡って活躍しました。

コンピューターが生まれる前の時代に、どのようなアルゴリズムで機械がチェスを指すのか非常に関心を持たれていましたが,火事から5年が経った1859年に指し手が箱の中に隠れて操作していたことが公表されました。





箱の内部は"機械仕掛け"に見えるような複雑な構造になっており、3つある扉のどれを開けても人がいないと見せかけるために、区画の間を人が移動していたと推測されています。

この画期的なカラクリをヒントに、1912年にスペイン人の技術で数学者のケベードが世界初のコンピューターゲームとされる"チェスマシン”を発明するなど、からくり人形が後世に残した功績は多大でした。

さて火事で燃え尽きてしまった後に秘密が明かされた人形ですが、その正体は誰だったのでしょうか?

84年の間、狭い箱の中い隠れてチェスを指し、海外遠征も含めて連戦を勝ち続けた人物に関する記録が一切残っていないのです。

大人ではとても入れるスペースでは無いため、足が不自由になった名手や子供が交代で指していたなどと云った想像豊かな諸説もあります。

今日まで素性が分かっていないからくり人形のミステリアスな魅力は、未だに海外の人々を惹きつけているお話となっています。

昨年Netflixのクイーンズ・ギャンビットのヒットを受けて、ツイッターで「次なるチェスのドラマの題材」をアンケートしたところ、最もリクエストが多かったのが “ The Turk

(トルコ人)” でした。


今後映像化がされれば、再び世の人々を驚かせるような事になることを期待したいです。


KEI

2歳〜NY, Rome 在住 チェスプレーヤー